KENWOOD KX-880Gカセットデッキ修理

ここ最近、若い人の間で注目されているというカセットテープ。そのカセットテープを再生と録音するだけの機能を持つ電化製品がカセットデッキです。私の所持するカセットデッキKENWOOD KX-880Gが故障から蘇りましたのでその修理の顛末をまとめます。

1.症状

昨年からカセットデッキの再生ボタンを押しても無反応、再生できても停止ボタンで停止しない症状がありました。現象の原因は磁気ヘッドが上下しなくなるための様でしたがなぜ上下しないのかは不明でした(後でネットで調査したところコントロールモーターの不調が原因でした)。しばらく置いておくと治ることもありだましだまし使っていました。しかし再生したまま停止しない症状が発生した後、いくら放置しても修復せずにカセットデッキもカセットテープも使用で出来ないことになってしまいました。

2.1次対策

どうするか、分解して取り出すしかないとドライバーを握りしめて分解してみました。   KX-880Gは側面の3本のねじを左右それぞれ外し、後面の2本のねじを外せば蓋が空き内部のメカが見えるようになります。なんとかカセットテープを外せないかと観察しましたが、磁気ヘッドが戻らない原因は不明のままでした。磁気ヘッド回りにちょっと振動を与えてみてから電源を入れたら磁気ヘッドがばたんと戻りました。分解すれば治ることもある。特に何をしたわけでは無いのですが、分解すれば戻ることもあるが修理対策として刻まれました。

3.再発と2次対策

しかし、根本治癒をしていないのですぐに再発しました。今度も再生しない症状が発生したあと、電源を入れ直してもいくら放置してもピクリともしなくなりました。どうするか。動かない原因はギアの摩耗かもしれないと考えシリコーングリースを塗る対策を思いつきました。
全くのあてずっぽうですが。そこで、駄目もとでシリコーングリースを購入してきました。  またまた、カセットデッキを分解し蓋を開けて、磁気ヘッドを動かしているギアに塗ってみました。十分グリースが行き渡るのを待ってからそっと電源を入れてカウンターが0になるのを待ってからカセットテープを入れ、再生ボタンを押してみましたがやはり反応なし。もはや打つ手なしと修理はあきらめてカセットデッキは表舞台から荷物置き場へと移動したのでした。

4.ネットで調査

カセットデッキの修理は半ばあきらめかけていたある日、もしかしたらネットに何か情報があるかもしれないとふと思いつき検索してみました。

「KENWOOD カセットデッキ 修理」で検索したら機種はKX-1100GとKX-880Gの上位機種となりますがヒントとなる情報がありました。こちらの「昭和カセットデッキ研究所」さんです。昭和カセットデッキ研究所の方は、オークションで購入したKX-1100Gをモーターの接触不良研磨とコンデンサと半導体の交換で修理されていました。この中で、自分のKX-880Gと同じ症状が出ているのがコントロールモーターの部分。外して電圧をかけて回転させ、錆や酸化膜を削ればいいらしい。

5.修理にチャレンジ

昭和カセットデッキ研究所さんの情報を基に自分のKX-880Gの修理をしてみることにしました。まずは蓋を開けて分解。

結束バンドを外さないと分解しにくいので結束バンドを外しました。組み立て時に使用する結束バンドはDAISOで買ってきました。

モーターだけをとりだすことはできませんでしたが、カセット駆動部を取り出すことには成功しました。

仕方ないのでモーターは組み込んだまま電圧をかけてまわしてみることにしました。電源は、単1電池を4本使用する懐中電灯の回路からVVFケーブルで取得。直列なので両端で6Vの電圧です。ケーブルをモーターの両端に接続してみました。接続当初は少し動くのですがすぐに停止します。モーター部分を手で回そうとするとかなりの力が要ります。それでもあきらめずに手で回して電圧をかける。止まったらまた手で回すを繰り返すと少しずつ回転を持続するようになりました。そのまま3分~5分くらい回し続けてから電源の極性を反対にして接続してみました。すると反対方向でもすぐに停止します。こちらも正回転と同様にしたら回り続けるようになりました。次は、正回転と逆回転を交互に繰り返し滑らかに動くようになるまで続けました。しかし、今回はモーターだけでなくヘッド部品も同時に動作するので消耗を避けるために過度の連続運転は控えます。おおよそモーターが回っていたのは合計20分くらいでしょうか。開始当初よりも大分滑らかに回るようになったのでモーターへの電圧負荷はここまでにして組み立て直して蓋を閉じました。

6.結果

カセットテープを入れ電源を入れて再生ボタンをえいやっと押してみると力強く滑らかにモーターは回り出しヘッドは動きました。停止ボタンを押したらヘッドは下がってすぐに停止します。再生と停止を繰り返しても問題無く動きます。 現在は、修理後2日目ですがまだ無事に動いています。なんとか修理は成功したようです。

こちらが修理後のカセットデッキの雄姿

KX-880Gはカセットテープの醍醐味である中音域豊かな自然で優しい音を奏でてくれます。

7.まとめ

もうダメと思ってもあきらめずに挑戦すれば欲しい結果は得られます。あきらめなければ失敗は成功への準備運動です。またこのような頑丈で素晴らしいカセットデッキを世に送り出してくれたKENWOODの方々と当時の日本の技術に尊敬と感謝を表したいと思います。

そして修理に踏み切る情報を惜しげもなく公開されていた「昭和カセットデッキ研究所」の方に感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

最後に、ここまで読んでくださった読者の皆様ありがとうございました。

8.その後

記事では1回の修理で修正が完了したように記述していますが、実はカセットデッキの修理を終え、ほぼ毎日カセットテープを聞いて半月位経ったある日、再生ボタンで動作しない症状が再発しました。再度同じ修理を実施し今度は長時間コントロールモーターを動作させて復活させました。現在は週に1,2回程度の頻度で使用し無事動作しています。可動状況を保つには、コントロールモーターが錆びつかない位の頻度(週1~月1)で使用するのが良いのではないかと思います。

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